-グーグル VS アップル激化-
インターネット検索大手のグーグルと時価総額でIT(情報技術)業界最大のアップル。つい1年ほど前まではグーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)がアップルの社外取締役を務めるほど親密な関係にあった両者だが、グーグルの携帯電話分野への傾斜とともに協調から競争に転じた。2011年も対決色が強まりそうだ。
グーグルとアップルが奪い合っているのは、ユーザーの時間とお金、そしてユーザーを魅了するアプリケーションや、そのためのソフトを開発するエンジニアだ。携帯電話用OS(基本ソフト)の販売を手掛けるグーグルと、携帯電話機そのものを手掛けるアップルとでは、争う土俵は異なるはずだが、ユーザーとアプリケーションを奪い合う構図となったことで、真正面から対決することになった。
両者が対峙する戦線は今年、さらに拡大する見通しだ。アップルの創業事業であるパソコン「マッキントッシュ(マック)」。超薄型ノート型パソコン「マックブックエア」の刷新を通じて、アップルは高機能携帯電話「iphone(アイフォーン)」、多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」だけでなく、原点のパソコンでも攻勢をかける。
対するグーグル。携帯OS「アンドロイド」を武器に高機能携帯電話や多機能携帯端末でアップルとユーザーやアプリを奪い合うだけでなく、近く投入するパソコン用OS「クロームOS」でパソコンの世界でもアップルに真っ向勝負を挑む姿勢を隠さない。
「うちはオープンだが、彼ら(アップル)は閉鎖的」(グーグルのシュミットCEO)、「アップルの戦略は統合されている。グーグルは分裂している」(アップルのスティーブ・ジョブズCEO)。両社のスタンスは真っ向から対立し、お互いを批判する。
ただ、多くのユーザーの本音は、おもしろいコンテンツ(情報の内容)を早く、安く、手軽に利用したいということだ。どちらが真摯にその声なき声にこたえ続けるか。あるいはどちらも応えられずに消え去るか。11年もその模索が続く。